株式会社インサート

工具の使用方法

1.ドリル穴(タップ下穴の穴あけ作業)


  1. サイズ一覧表のタップ下穴寸法に入るような、適正寸法のドリルを使用し、真直ぐに穴を開けて下さい。
  2. 止り穴の場合は下記によりドリル穴の最小深さSを算出して、穴あけの深さを決めて下さい。
    S=Lb+2.5p

    S=ドリル穴の最小深さ
    Lb=E-サートの呼び長さ
    P=ねじのピッチ

    例:M10-1.5×2DNSのE-サートを使用する場合は

    Lb=10×2=20、 P=1.5のため
    S=20+2.5×1.5=23.75となり、
    止り穴の場合この寸法より深く穴あけして下さい。

2.タップ立て作業


  1. 必ずE-サートタップをご使用下さい。タップは等径3本組です。先タップ(#1)、中タップ(#2)、上げタップ(#3)があります。普通のタップ立てと同様に選択してご使用下さい。傾いたり、芯が外れたりするとねじ山が不完全になりますから注意して下さい。穴あけおよびタップ立て作業は昔通のめねじを作る場合と少しも変わりありません。
  2. タップ穴があいたら、E-サートを挿入する前にエアーなどで切粉を充分除去することが大切です。必要に応じE-サートゲージでタップ穴を検査して下さい。
    (注) 面取は糸面取程度にして下さい。面取が大きいと挿入不良の原因となります。

3.E-サートの挿入作業


インサートの挿入には必ずサイズにあった専用の挿入工具をご使用下さい。
挿入工具には、P型(プレワインダー型)、P2型(プレワインダー型)P3型(プレワインダー型)とS型(スリーブ型)があります。
他に動力式もあります。ロックインサートの場合はロックインサート用挿入工具を必ずご使用下さい。動力式は別途説明書をご覧下さい。
  1. P型挿入工具の使い方
    マンドレルを引上げてE-サートをスリーブの窓ヘタング側を先端にして入れます。 スリーブの先端にある案内めねじの中に、一度E-サートをしぼり込んでから、タップ穴の入口に挿入工具を垂直に当てがい、スリーブが動かないように注意しながら、ハンドルを廻して下さい。 E-サートは案内めねじからタップ穴の中へ挿入されていきます。
    (注) マンドレルでE-サートを押付けないで下さい。押付けますと、E-サートがタップ穴のねじ山をとび越えて挿入されることがあります。充分にご注意下さい。マンドレルは水平に軽く廻すか、あるいは多少引張り上げ加減にして廻すとE-サートは正しく挿入されます。案内めねじのスリワリ部でE-サートの挿入状況を見て下さい。
    挿入が完了したことを確認してから母材より工具を離して下さい。
    マンドレルを逆転させないで下さい。トラブルの原因になります。

  2. P2型挿入工具の使い方

    使い方はP型挿入工具とほとんど同じです。
    マンドレル柄部に特殊案内ねじがあり、マンドレルは1回転で1ピッチだけ正確に進みます。E-サート挿入完了後はマンドレルを逆転することなく、すみやかに引抜いて下さい。
  3. P3型挿入工具の使い方

    挿入方法はP型に準じます。挿入完了後、完了した事を確認してからマンドレルを逆回転させてE-サートから抜けた時点で母材より工具を離して下さい。
  4. S型挿入工具の使い方

    E-サートのタング側を先端にしてタングをマンドレルの溝に挟み、タップ穴に垂直に立て、スリーブでE-サートを軽く押付け、ハンドルを廻して挿入します。
    この際、マンドレルは水平に軽く廻すか、あるいは多少引張り上げ加減にして廻しますとE-サートは正しく挿入されます。
    (注) 絶対にマンドレルでE-サートを押付けないで下さい。 マンドレルでE-サートを強く押付けますと、E-サートがタップ穴のねじ山をとび越えて挿入されることがあります。充分にご注意下さい。
  5. 動力挿入工具の使い方
    ご購入時、添付の使用説明書に従って挿入して下さい。
    (注) E-サートを挿入する深さ 軽合金などの軟らかい材質には、タップ穴の入口から1/2〜1山位、鋳鉄などの場合には1/4〜1/2山位の深さにE-サートの端末が止まるように挿入して下さい。

4.タングの折取り作業


  1. サイズに合った専用のタング折取り工具をご使用下さい。
    (注) ねじこみ完了後、挿入工具のマンドレルを逆転したり、たたいてタングを折り取ったりしないで下さい。
  2. タップ穴に挿入されたE-サートの中にタング折取り工具を挿入し、その頭部をハンマーで強く短打すれば、タングはノッチから簡単に折取れます。
  3. 径の大きな(M18以上)E-サートの場合には、ドライバーあるいは、先細ペンチで代用してタングを折取ることもできます。ドライバーを使う場合は、ドライバーの先をタングの根元に当てがって、ドライバーの頭部をハンマーで強く短打して下さい。先細ペンチを使う場合は、タングの先を挟んでめねじの軸方向に交互に曲げれば、ノッチの部分からタングは折取れます。
  4. 止まり穴等でボルトがE-サートのタングに当らない場合にはタングを折取る必要はありません。

5.E-サート抜き取り作業


  1. 正しく挿入されたE-サートは、特別の理由のない限り抜き取る必要はありませんが、ねじこみ失敗や、その他の理由で抜き取るときは次のようにして下さい。
  2. サイズに合った専用の抜き取り工具を使うとき、抜き取り工具の刃部をE-サートめねじに強く押し付けます。その位置は、E-サートの端末から1/4巻位のところが適当です。 抜き取り工具の刃部がE-サートにくいこみやすくするために、小形三角ヤスリでE-サートの内側に切欠きをつければ、更に抜き取りやすくなります。 抜き取り工具は時計の反対方向に廻します。
  3. 先細ペンチで抜き取るとき
    先細ペンチでE-サートの端末を挟んで引張り出す方法はE-サートタップ穴のねじ山をつぶすことがありますので避けて下さい。 抜き取り工具がなく、止むを得ず先細ペンチで抜き取る場合には、E-サートの端末を挟んで、ねじこんだ方向と反対方向に廻しながら抜き取って下さい。
  4. 抜き取ったタップ穴は再度E-サートタップを必ず通して、バリなどのないことを確認してから新しいE-サートを挿入して下さい。